フェミニスト理論1

 フェミニストの論理に従えば、この一般女性たちは父権制の無自覚な共犯者に他ならない。この妻たちを、その「経済的従属状態」と「強制された性的服従状態」(ウィンターによれば、これは「強姦」である)から「解放」する戦いもまた喫緊の政治課題にはならないだろうかと著者は主張する。すなわち、そこから導出される結論は、父権制社会のすべての性制度の同時廃絶であって、売春の選択的廃絶ではない。
「女性=性奴隷」の論理に従って、廃娼運動を進めようとすると、なぜ売春婦が主婦に先んじて「解放」されなければならないのかを言わねばならない。そのときにもし、売春婦が主婦よりも「貧しく」「教養に欠け」「穢れた仕事に従事している」という事実をその優先性の根拠とするならば、それは「金」と「教養」と「処女性」に高い値札をつける父権制の価値観の少なくとも一部には同意したということになる。
「私たちは父権制批判を徹底させようと思えば、廃娼運動を唱導することは断念しなければならないし、廃娼運動を優先しようと望むなら父権制批判をトーンダウンさせなければならない。」
フェミニストのこの理論をゼロサム構造とし、それゆえにラディカルな父権制批判の立場を採る論者は、ほとんど構造的に売春容認の立場をとらざるを得ないし、売春婦を「苦界」から救出しようとする者はドミナントな性イデオロギーにある程度まで譲歩せざるを得ないと著者は主張する。